演奏曲を語る 最終回

こんにちは。
いよいよ明日に迫った定期演奏会。団員からは、
「本当に明日なのか」
「昨日合宿から帰ってきたばかりな気がする」
といった声も散見されますが、明日ったら明日なのです。

さて、今回は演奏会前最後の曲紹介をしたいのですが、その前にちょっと小話を。

実は演奏会の成功を祈願しに個人的に江の島へ行ってきたのですが、海辺を飛んでいるトンビを見て、ふと思いました。
「あの中に鷲(ワシ)とか混ざってたら面白いなぁ」
と。
それでしばらく探してみたんですが、そもそも違いがよく分からないんですよね。
皆さんは、トンビとワシの違い、分かりますか?

調べてみたら、主に「尾」の形や色が違うそうです。

書いてみました。

また、トンビと言えば日本ではポピュラーな猛禽類で、よく人の食べ物をさらったりする事で有名ですが、外国、例えばアメリカなんかでは生息数が少なく、あんまり害のある鳥として認識されていないそうです。
うらやましい。

ついでに言うとワシは日本では「自然の深い場所に住む孤高の鳥」という印象ですが、アメリカに於いては国家の象徴「国鳥」とされており、「自由・強さ・誇り」を象徴する神聖な鳥だそうです。

国によって印象が結構違って、面白いですね。
なお、当たり前ですが江の島にワシは居ませんでした。

小話おわり。


本題です。
今回は二部の最後にお送りする「Selection from WICKED」について語りたいと思います。

この曲は、「オズの魔法使い」へと繋がる物語を描いた大人気ミュージカル「ウィキッド」より、印象的な5曲が盛り込まれた豪華メドレーです。

「ウィキッド」は、オズの魔法使いに登場する西の悪い魔法使いと北の善い魔法使いの秘めたる友情を描いたミュージカル作品で、2003年にブロードウェイで初演を迎えた後、2024年に前編、2025年に後編が映画化されました。

主人公は、高い魔力と正義感を持ちながら、肌の色が緑色であるというだけで虐げられてきた内気な魔女エルファバと、魔法の腕はイマイチでも、持ち前の美しさとカリスマ性で周囲から愛される、ちょっと高飛車な魔女グリンダ。

二人は同じ魔法学校に入学し、ひょんなことから同じ部屋で暮らすことになります。

性格も正反対の二人は、最初は衝突してばかりでしたが、次第に理解を深め合い、唯一無二の親友となりました。

やがて二人は共通の敵と対峙することになりますが、葛藤の末、別々の道を歩む決断をします。

この物語は、二人の美しくも切ない友情を描くファンタジーの顔と、政治や権力の闇を描いた社会的な顔を持ち合わせており、メッセージ性の強い楽曲の数々とともに、長く人気を博しています。

今回演奏する「Selection from WICKED」は、選曲と曲順が非常に秀逸なので、それぞれ解説していきたいと思います。

1.No One Mourns Wicked/誰もウィキッドの死を悲しんだりしない

物語は、エルファバの死から始まります。

その知らせを受けたオズの民衆は、歓喜に沸き立ち、この曲を盛大に歌います。

そこへシャボン玉に包まれたグリンダも現れ、共に平和の訪れを祝福するのですが、彼女だけは、親友を失った悲しみを必死に隠しているという、皮肉と切なさも込められています。

また、歌詞の中で「人は生まれつき悪なのか、それとも悪に仕立て上げられてしまうのか?」という、ウィキッド全体の最大のテーマが提示されます。

2.Dancing Through Life/人生を踊り明かせ

二人と同じ学校に転校してきたプレイボーイの王子様フィエロが、図書館で真面目に勉強する学生たちに「人生なんて深く考えず、楽しく踊り明かせばいい」と投げかけ誘惑する、賑やかな曲です。

一見すると能天気で特に深いメッセージも無い曲に聞こえますが、主要登場人物の関係性や心情に変化をもたらし、これがきっかけで開催されたパーティーでもエルファバとグリンダが心の距離を一気に縮める事になるため、非常に大事な転換点の曲となります。

3.No Good Deed/闇に生きる

第二幕の中盤で歌われる、エルファバの怒りと絶望を表現した力強い曲です。

大切な人たちを救うために行った事が、結果として彼らを傷つけ、追い詰めることになってしまうという現実に、エルファバは打ちのめされます。

そして、

「どんな善行も、罰を受けずに済むことはない」

と悟り、もう二度と「善い事」などしない、と誓うのです。

これはエルファバが「西の悪い魔女」としての運命を自ら受け入れ、世界と戦う覚悟を決める、物語最大のターニングポイントとなる曲です。

4.For Good/あなたを忘れない

第二幕のクライマックスで歌われる、エルファバとグリンダのデュエットソングです。

永遠の別れを悟った二人が、互いへの感謝と愛を伝えます。

「あなたと出会えたから、私は良い方向へと変わることができた」

見た目も価値観も全く違い、最初は反発し合っていた二人ですが、互いを知ることで成長し、人生が豊かになったことを確かめ合います。

「For Good」には「永遠に」という意味と「より良い自分になるために」という二重の意味が込められており、二人の絆の深さを象徴する、ウィキッド最高峰のバラードです。

5.Defying Gravity/自由を求めて

第一幕のラストで歌われる、第一幕最大のハイライトです。

エルファバとグリンダが別々の道に進むことを決める最初のシーンで、序盤はグリンダがエルファバを引き留めようとしますが、どうしても自分の正義を曲げられないエルファバは、これを拒否します。

また、エルファバもグリンダに一緒に行こうと提案しますが、グリンダもまた留まることを決め、最後は互いの決めた道を尊重しながら、ひとまずの別れを迎えます。

曲名は直訳すると「重力に抗う(あらがう)」という意味になりますが、これはエルファバが、自分を縛り付ける社会のルールや常識(重力)を振り切って大空へ舞い上がるという事を意味し、歌詞の中にも

「大空高く 舞い上がるの 飛んでゆくのよ どこまでも」

「誰にも止められない 羽ばたこう 大空へと 恐れはしないわ」

といった、自由のために大空へ飛び立つエルファバの決意が表現されています。

たった一人で「悪者」としての険しい道を進もうとするエルファバの咆哮(ほうこう)が聴く人の心を揺さぶる、第一幕のエンディングにふさわしい曲です。

6.No One Mourns Wicked/誰もウィキッドの死を悲しんだりしない(reprise)

「Selection from WICKED」の最後を締めくくるのは、この曲および物語の序盤に登場する「誰もウィキッドの死を悲しんだりしない」です。

エルファバとグリンダ、他にも数々の登場人物が織りなす壮大な物語も、最終的にはやはりここに帰ってきてしまうという事を思い出させる、屈指のエンディングとなります。

グリンダが隠す悲しみと、民衆の歓喜の対比を力強く演奏します。


この曲を演奏し、また映画を視聴して思うのは、

「見た目も中身も正反対で、永遠の別れを誓っても尚消えない友情なんて、そうそう無いよなぁ」

という事。

それだけ強固な絆を育んだエルファバとグリンダには感服しますが、私も大事な友人を想う気持ちは持ち合わせているつもりなので、そういった気持ちをしっかりと込めて演奏したいと思います。

皆さまも、ぜひご自身の大切なご友人を思い出しながらお聴き頂けますと幸いです。

ちなみに余談ですが、今回の演奏会ではもう一曲、魔法使いが登場する作品の曲をお送りする予定です。

なんの曲を演奏するか、お楽しみに(^-^)♪

それでは、今日も最後までお読み頂きありがとうございました!

明日、皆さまにお会いできることを楽しみにしています!


藤沢ウィスタリア ウインドオーケストラ
第27回定期演奏会

♪日時♪
 2026年9月27日(日)
 開場 13:00
 開演 13:30

♪場所♪
 湘南台文化センター市民シアター

♪演奏曲♪
 A.Reed/エルサレム讃歌
 J.Horner/タイタニック メドレー
 S.Schwartz/Selection from WICKED 他

♪アンサンブルのお知らせ♪
開演前にサックス、休憩時にトロンボーンがホールにてアンサンブル演奏をします(^-^)
よろしければ少しお早めにお越しください♪